腫瘍科治療について
みなさまご存知のように、近年は伴侶動物(わんちゃん、ねこちゃんなど)の高齢化が進んでいます。そのため、腫瘍関連の疾患も増えてきてます。
その中でも、飼い主様に早期発見していただきたいのが乳腺腫瘍です。犬の乳腺腫瘍の場合、早期発見であれば、局所切除で完治が望めます。
しかし、腫瘍が大きくなるまで気づかなかったり、悪性の乳癌の場合、手術範囲が広範囲で必要になったり、肺などに転移してしまっていることがあります。
女の子のわんちゃん、特に避妊手術をしていない場合は、定期的に乳腺にしこりがないか検査をしましょう。
転移してしまっている場合でも、生活の質(QOL)のために腫瘍を摘出したり、抗ガン剤を低用量で使用するメトロノーム療法を施す選択肢もあります。
長生きしてくれているペットたちに最後まで元気に暮らしてもらえるよう、ベストな治療をしていきます。また、飼い主様が悩みを抱え込んでしまわぬよう、困ったことがあればなんでも相談していただけるような病院作りを目指しています。
その他、腫瘍には体表の腫瘍、脳腫瘍、甲状腺腫瘍、副甲状腺腫瘍、肺腫瘍、肝臓腫瘍、脾臓腫瘍、膵臓腫瘍(インスリノーマ)、膀胱腫瘍など様々あります。
いずれの場合も早期発見早期治療が大切ですので、定期的に健康診断をお勧めいたします。
こんな症状はありませんか?
- 呼吸が荒い
- 体にしこりがある
- 体重減少
- 歩行に異常がある
- 食欲がない
- 元気がない
- 下痢/血便
- 便秘
- 嘔吐
腫瘍の主な症状と病例
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- 乳腺腫瘍(乳癌)
- 避妊手術をしていない女の子が高齢になった場合、乳腺にしこりがないか定期的にチェックする必要があります。良性の乳腺腫瘍でも巨大化し、破裂し化膿してしまうこともあります。大きくなる場合は早めに手術が必要です。
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- 肥満細胞腫
- 腫瘍細胞からヒスタミンという物質が分泌され、ショック症状を起こしたり、消化管潰瘍を起こしたりします。腫瘍の外観より大きく切除する必要があるため、大手術となりやすい腫瘍です。
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- リンパ腫
- 体のリンパ節が腫れ上がる病気です。腫瘍ですが、手術ではなく抗がん剤での治療となります。抗がん剤治療を始める前にその効果および副作用について、しっかりと時間を取りお話しをします。。
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- 脳腫瘍
- 初期症状がほとんど見られないため、症状が出た時には既に大きな腫瘍が脳に出来ていることが多いです。発作、けいれんなどあれば必ずお伝えください。
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- 脾臓腫瘍
- 血液がたくさん貯められている臓器のため、それが腫瘍化し、破裂するとお腹の中で大出血してしまいます。初期症状がないので、定期的に健康診断の1つとしてお腹のエコー検査をおすすめします。
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- 膵島細胞腫瘍(インスリノーマ)
- 糖尿病とは反対に低血糖による発作を引き起こす腫瘍です。非常に稀な病気で、治療が難しいです。膵臓の部分切除により、症状を緩和してあげる方法や、お薬による治療法があります。